Columuコラム

文書作成日:2025/07/08
令和7年分所得税からの基礎控除額の改正と2年間の限定措置

[相談]

 私は会社で経理・給与計算を担当しています。
 令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除額が変更(引き上げ)となりましたが、その引き上げ額の一部が期間限定のものであると聞きました。その内容を教えてください。

[回答]

 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除額の引き上げのうち、所得階層に応じた上乗せ部分の一部は、令和7年分と令和8年分の2年間の期間限定での適用となっています。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.令和7年度税制改正後の所得税の基礎控除額の引き上げの概要

 令和7年度税制改正により、令和7年分以後の所得税の基礎控除額については、改正前の最高48万円から10万円引き上げられ、最高58万円となっています。

 さらに、合計所得金額の区分(所得階層)に応じて、最高37万円が上乗せされます。

2.所得階層ごとの基礎控除額の上乗せ額の詳細

 上記1.の所得階層に応じた上乗せとは、令和7年分以後の各年分において、居住者のその年分の所得税に係る合計所得金額が655万円(令和9年分以後の各年分にあっては、132万円)以下である場合における基礎控除額を、原則として、次に掲げる年分の区分に応じ、それぞれに定める金額を加算した額とするというものです。

(1)令和7年分及び令和8年分:次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額

@その居住者のその年分の所得税に係る合計所得金額が132万円以下である場合:37万円
Aその居住者のその年分の所得税に係る合計所得金額が132万円を超え336万円以下である場合:30万円
Bその居住者のその年分の所得税に係る合計所得金額が336万円を超え489万円以下である場合:10万円
Cその居住者のその年分の所得税に係る合計所得金額が489万円を超える場合:5万円

(2)令和9年分以後の各年分:上記@の37万円のみ

 この内容を表にまとめると、下記のとおりとなります。

 このように、所得階層に応じた基礎控除額の上乗せ区分のうち、合計所得金額132万円超336万円以下、336万円超489万円以下、489万円超655万円の3つの区分については、令和7年分と令和8年分の2年間だけの適用となっています(上の表で、令和9年分以後の基礎控除額が、合計所得金額132万円超2,350万円以下の区分のすべての区分で58万円となっていることをご確認ください)。

[参考]
所法86、改正所法86、令和7年改正所法附則1、7、改正措法41の16の2、財務省「令和7年度税制改正」(令和7年3月)など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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